三大貴石の一つエメラルド。天然と全く同じように作られた再結晶エメラルドの方が、美しいものが多いのをご存じでしょうか?天然と再結晶を巡り、エメラルドほど人々を振り回してきた宝石はないのかもしれません。
古来より親しまれてきたエメラルド
エメラルドは、ベリルという柱状に結晶する鉱石の緑色のものを指します。水色がアクアマリンですが、ベリルの日本語名は「緑柱石」というように、ベリルの代表として古来からエメラルドが愛されていたことがわかります。
美しさは罪?~エメラルド狂想曲~
エメラルドが人工的に作り出されるまでには、紆余曲折がありました。
人工エメラルドができるまで
イミテーションではなく、天然エメラルドと全く同じ成分のものを人工的に作りだすのは、困難を極めました。それまでに発明された再結晶方法で作ると、ただのガラスになってしまうからです。
第二次世界大戦後、アメリカの化学者が天然と同じ成分のエメラルドを作ることに成功しました。それが市場に出回ったところ、「天然ではない」と見破られてしまいます。その理由はなんと、「美しすぎる」ということでした。
天然エメラルドと人工エメラルドの違い
天然のエメラルドは、傷のないものを探すのは不可能と言われるくらい、無数の小さい傷があるのが普通です。また、結晶になる過程で、さまざまなものを閉じ込めていきます。これが、内包物(インクルージョン)と呼ばれるものです。
ところが、人工エメラルドにはほとんど傷がなく、内包物もありませんでした。あまりにも美しすぎることが、天然ではないことを証明してしまったのです。
不純物を混ぜた人工エメラルドも
そこで、より天然に近づけようと次に作り出されたのが、故意に傷を作り、天然の不純物も入れ込んだ人工エメラルドです。
このことによって、「天然物には傷があり、人工物は傷がない」という図式は崩れました。さらに、天然物でほぼ傷がないものも出回るようになり、人工エメラルドとの判別は難しくなっていきます。
エメラルドの美しさを決めるもの
海水や塩などを含むエメラルドの原石は、パワーストーンとしても珍重されますが、身を飾る宝石となると話は別です。
色・サイズ・透明度
エメラルドは、独特の青緑色と大きさがグレードを決めます。色を楽しむ宝石は、その色が一番の美しさの条件に上がるのですが、エメラルドの場合は、色と同じくらい透明度も重要です。
透明度を演出する加工
天然のエメラルドには傷があって当然です。そのため、天然エメラルドは傷を隠して美しく輝かせるために、オイル処理などの人工的な加工が施されています。
天然エメラルド宝石の手入れに細心の注意が必要となるのは、元々傷があることと、その傷を隠す加工がされているからです。
人工だからこそできる本来の美しさの追求
クレサンベールのエメラルドは、天然のエメラルドとベリルを元に、人工とはいえ京セラの技術により、地球と同じ環境を再現し、育成したものです。
ゆっくりと育て上げられた結晶から、「美しいからこそ宝石」の想いのもと、最上級のエメラルドが再現されている、ほんの数%のみを宝石としてカットします。ほとんど傷のない美しい結晶には、カット以外、人の手は入りません。
天然物ではまず手に入らない、高貴な色と透明感をもつクレサンベールのエメラルドをぜひお楽しみください。