1月の誕生石:ガーネット

深い愛情と希望の石、ガーネット

結晶が集まった状態で産出され、その様子がザクロの実に似ていることから、日本で「ザクロ石」とも呼ばれているガーネット。その姿から「実りの象徴」とも呼ばれ、コツコツ努力した成果を実らせ、成功に導くといわれています。

一年の始まりである1月の誕生石にぴったりな宝石・ガーネットの魅力をご紹介します。

赤、オレンジ、緑…多彩なガーネットの世界

ガーネットは単体の宝石ではなく、鉱物グループの名前。含まれる成分によってさまざまな種類に分類され、カラーも異なります。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

アルマンディンガーネット(赤茶)

「ガーネットといえば赤」というイメージを定着させた、ガーネットの中で最もポピュラーな種類です。

パイロープガーネット(血赤色)

見た目はアルマンディンガーネットとよく似ていますが、成分が異なります。

ロードライトガーネット(赤紫色)

アルマンディンやパイロープとも異なる、ワインのような紫がかった美しい赤色です。

スぺサルティンガーネット(オレンジ色)

鮮やかな色が柑橘類の果物・マンダリンに似ていることから「マンダリンガーネット」とも呼ばれています。

デマントイドガーネット(緑色)

ダイヤモンドのような輝きがあることからこの名前が付けられました。宝石学上、デマントイドにのみ存在すると言われている「ホーステイル・インクルージョン」と呼ばれる馬の尾(ホーステイル)に似た繊維状のインクルージョンが見られることもあり、とても稀少価値が高いガーネットです。

ツァボライト(グリーングロッシュラーガーネット/緑色)

1968年にアフリカ・ケニアで初めて見つかった、まだ新しい宝石です。同じ緑色でも、デマントイドとは違うグループに分類されます。

同じ宝石でも、まったく異なる色合いを見せてくれるのがガーネットの魅力のひとつ。選ぶ際は、ぜひ絶妙なカラーの違いに注目してみてください。

ノアの方舟の灯火となり、進路を照らす宝石

旧約聖書の「創世記(6章-9章)」に記されている『ノアの方舟』といえば、神が人類の堕落に怒って大洪水を起こし、神の啓示を受けたノアが方舟を作って家族やさまざまな動物とともに乗り込んだという、聖書の中でもとても有名な物語です。

その話の中に、ガーネットが登場するのをご存じでしょうか。悪天候で昼も夜も定かでない厚い雲に覆われた四十日四十夜、方舟の進むべき方向に明かりを灯し、舟の中を照らし続けた赤い宝石、それこそガーネットだったといわれています。ノアたちはこの明かりに守られ、大洪水を乗り切ることができたのです。

ガーネットは危険の接近を警告する能力があるとして、古くからお守りとしても愛用されてきました。「血」を連想させる赤い宝石は負傷から身を守るとも考えられていたため、中世ヨーロッパの十字軍の兵士たちが赤いガーネットを甲冑にはめ込むなど、好んで身に着けていたとも言い伝えられています。

一途な愛を貫いたゲーテの恋人

ガーネットの石言葉は「貞操」「忠実」「変わらぬ愛」。ドイツの文豪ゲーテが晩年に愛した恋人ウルリーケ・フォン・レヴェツォーは、まさにその言葉を体現したような女性でした。

恋多き男だったゲーテは、自身が75歳のときに当時19歳だったウルリーケに求婚します。うら若き乙女だったウルリーケも、彼と気持ちは同じ。56歳という年の差をものともせず、二人はお互いに深い愛情を注いでいました。

詩人、自然科学者、そして宝石愛好家でもあったゲーテのために、ウルリーケはデートのたびにガーネットを身に着けていました。宝石に込められた石言葉で、ゲーテへの一途な愛情を表現していたのです。彼が82歳で亡くなるまで、ガーネットを片時も離さなかったと伝えられているウルリーケ。彼女にそれほど真摯に愛されたゲーテもまた、幸せだったに違いありません。

硬度が高く、扱いやすいガーネット

ガーネットは粉末にした状態で紙やすりに使われることも多かったほど、比較的硬度が高いことも特徴的。薬品や熱にも強いため、お手入れしやすい宝石です。

普段のお手入れ

柔らかい布で全体をやさしく拭きます。

特別なお手入れ

中性洗剤を溶かしたぬるま湯にガーネットを入れ、柔らかいブラシでやさしくこすって洗いましょう。洗い終わったら真水でよくすすぎ、柔らかい布で水気を拭き取ります。

お手入れの注意点

デマントイドガーネットのみ、ガーネットの中では硬度が低めなので、丁寧なお手入れを心がけましょう。

扱いやすくお手入れもしやすいガーネットは、普段使いとして身に着けても美しい輝きを放ちます。

その見た目や石言葉から、希望を捨てずに実りある人生を送りたい人、いつまでも愛情深くいたい人にこそぴったりな宝石です。「いつまでも変わらぬ愛」を伝えるために、結婚記念日などにガーネットを贈るのもおすすめです。

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