ダイヤモンドの4C 『カット』

ダイヤモンドの品質を評価する国際基準である「4C」。その内のひとつ、「カット(Cut)」について説明したいと思います。

ダイヤモンドのカットの評価とは?

ダイヤモンドの「カット」、すなわち研磨とは、4つの基準の中で唯一人間の手による技術が評価される要素です。その他に要素に関してはそのダイヤモンドが元々持っている素質、品質に寄るものですが、カットは熟練した職人の技がその美しさを左右するのです。
カットに関する評価は5つの段階に分かれています。

  1. Excellent(エクセレント・最上)
  2. Very good(ベリーグッド・とても良い)
  3. Good(グッド・良)
  4. Fair(フェア・まあまあ)
  5. Poor(プア・残念)

カットとはダイヤモンドのプロポーションとフィニッシュの二つに分けて分析・評価されます。
プロポーションとは、宝石の大きさ、角度、ガードルの厚さなどダイヤモンド内部で反射する光の量に影響を与える要素です。
フィニッシュは、ダイヤモンドの光沢を左右するもので、研磨の状態や質を判断します。

評価の対象となるダイヤモンドは?

まず、どのようなダイヤモンドがカットの評価の対象となるのでしょうか。それは以下の3つの条件を持ったダイヤモンドです。

1.カットは「ラウンド・ブリリアント・カット」であること

光学的に見て、最もダイヤモンドの美しさを引き出すカット方法だとされているのが「ラウンド・ブリリアント・カット」です。

普通のラウンド・ブリリアント・カットは、クラウン側(ダイヤモンドの上部)に33面、パビリオン側(ダイヤモンドの下部)に25面(キューレット(ダイヤモンドの一番下に当たる先端の部分)1面を含む)、合計58面のファセット(研磨された面)があります。

カット評価の対象となるのは、この58面からなるカット方法のみです。もちろん、それより多い86面カット、102面カットなどの多面カットや、ハート型やドロップ型にカットされた「ファンシー・シェイプ(変形)」と呼ばれるカット方法もありますが、これらに関してはカット評価の対象とはなっていません。

ラウンド・ブリリアント・カットを施されたダイヤモンドでは、光はクラウン側から入り、内部で反射し、またクラウン側から出ていく時に美しい輝きを放ちます。石の状態でパビリオン側から光を当てても光は殆ど中に入りませんので、指輪などのデザインでダイヤモンドを埋め込んだとしても、その輝きに影響はないのです。

2.ダイヤモンドのクラリティはFLからI3まで

カット評価の対象となるダイヤモンドは、ある一定のクラリティに属するもののみとされています。クラリティの基準となるGIA基準において最高級の「FL(フローレス)」から、肉眼でダイヤモンドの内部にインクルージョン(内包物)が確認できる程度のグレードである「I3」までの11段階に属するダイヤモンドが評価の対象です。

いくら素晴らしいカットを施したとしても、インクルージョンの多い(クラリティの低い)ダイヤモンドでは、光の反射が吸収されてしまい、輝きを放てないからなのです。

3.重量は自動プロポーション測定器で測定可能な範囲内

クラリティ、カットの方法が基準を満たしていても、あまりにも小さな石などは評価の対象から外されます。

目視評価の要素は7つ

カットを評価する要素としては以下の輝きに関する項目に対して3つの要素、それ以外に関する4つの要素の、合わせて7つによって評価されます。

ダイヤモンドの輝きに関する3つの要素

まず、輝きに関する「3つの要素」とは以下のものです。

ブライトネス(白色光の輝き)

ダイヤモンドに入った光が内部で何度も屈折や反射を繰り返し、クラウンから出ていく際に放たれる、まばゆい輝きのことです。

ファイアー(またはディスパーション)(虹色の輝き)

ダイヤモンドに入った光が内部で反射を繰り返している間、プリズム効果が生まれます。それにより、クラウンから出ていく際に、虹色の輝き(スペクトル・カラー)を出します。

シンチレーション(光のきらめき)

ダイヤモンドを動かすと、キラキラとした光が輝きますが、その光のフラッシュ効果(スパークル)が生まれます。

ダイヤモンドの輝き以外に関する4つの要素

「4つの要素」とは、重量比、耐久性(ガードルの厚さ)、ポリッシュ(研磨の状態)、シンメトリー(対称性)を指しています。

評価の手順はどのようなもの?

まず、自動プロポーション測定器を使用して、対象のダイヤモンドのプロポーション要素をGIA Facetware Cut Estimatorデータベース(3850万通り以上)で照合し、推定のカットグレードを定めます。次に、目視評価要素に関する評価を行います。

最後に、上記の「カットグレード」と「目視評価要素」を合わせて、総合的に判断した結果としてダイヤモンドのカットの最終グレードである(Excellent, Very Good, Good, Fair, Poor)を決定するのです。

京セラのダイヤモンド
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