10月の誕生石であるトルマリン。トルマリンと一言に言っても、その色彩は実に多彩でバリエーションに富んでいます。特に鮮やかな蛍光色を放つ青や緑のパライバトルマリンは、その美しさと貴重さから近年大変人気のある宝石のひとつです。
トルマリンの歴史
トルマリンは、宝石の中では発見されたのがそれほど古くはありません。18世紀にセイロン島で掘り出され、ヨーロッパで紹介されたのがその始まりです。あらゆる多彩な色彩を持ち、比較的安価だったため、初めは他の宝石のイミテーションとして使われていました。
トルマリンという言葉は、元々はセイロン島の言語であるシンハラ語の「トルマリ」に由来します。これは黄色いジルコンを意味しますが、ジルコンの主成分のジルコニウムはトルマリンには含まれていないことから、語源の由来はやや不明瞭と言っていいでしょう。
現在の産出地は幅広く、主な産出地はブラジル、マダガスカル、アメリカ、ケニア、タンザニアなどです。
トルマリンの宝石言葉は「希望」「無邪気」「潔白」「友情」「広い心」など。特にピンクトルマリンは愛の石とも呼ばれています。恋愛に関して前向きになれる力や、身につける人をより美しくみせる力があるパワーストーンとしても人気があります。
トルマリンの特徴
トルマリンの特徴は、何といってもその多彩な色彩です。例えばルビーの赤、サファイアの青などのように基調となる色はありません。そのカラーの多彩さから「トルマリンには全ての色がある」と言われるほど。
トルマリンがこのように多彩な色彩を持つ理由は、大変複雑な化学組成によってできているからです。成分が微妙に入れ替わったものが多数存在するため、その色彩が多種多様になるのです。
トルマリンは、日本語では「電気石」と呼ばれています。これは地球上の鉱物の中で唯一トルマリンだけが、ある条件下において電気を帯びることができる石だからです。
さらに、科学的な証明はなされていませんが、リラックス効果、疲労回復、体質改善などのヒーリング効果があるマイナスイオンを発生させていると言われています。色が濃いトルマリンほどその力が強いとされているため、宝石的な価値はそれほどありませんが、ブラックトルマリンはそのパワーを最も秘めていると言われ、パワーストーンとしての人気が高くなっています。
トルマリンの種類
実に様々なバリエーションの色彩が特徴のトルマリン。主なものとしては以下のようなものがあります。
赤系のピンクトルマリン、ルベライト、青系のインディゴライト、ブルートルマリン、緑系のグリーントルマリン、黒系のショールトルマリン、ブラックトルマリン、二色以上の色が混在したバイカラートルマリンなどです。
中でも人気の「パライバトルマリン」
数あるトルマリンのカラーバリエーションの中でも、その美しさと希少性から別格の扱いを受けているトルマリンがあります。それが、一度見たら忘れることのできない鮮やかな青やグリーンが特徴のパライバトルマリンです。
ネオンカラーとも言われる、輝きを放つ色彩を持ったこのトルマリンは、1989年にブラジルのパライバ州で発見されたことからこの名前がつけられました。現在はパライバ州からの産出はほとんど途絶えてしまい、ナイジェリアやモザンピークからの産出がメインとなっています。
原産地が限られているため採掘量が大変少なく、1カラット以上の大きさのものは滅多に市場に出回ることはありません。その流通量の少なさから、ダイヤモンド以上に貴重で高額な宝石とも言われているほどです。蛍光色が強く、テリが鮮やかなものほど価値が高いとされており、大変な高額で取引されている宝石のひとつと言っていいでしょう。