アクアマリンは鉄分の入り込み方や量の差によって、同じブルーでも微妙な色の違いを生み出します。少し緑がかった青色から、淡い青、そして濃い青色まで幅広く産出されますが、このうち、濃度が高い青色のアクアマリンが高く評価されています。
アクアマリンの主な産地
ブラジル産
世界におけるアクアマリンの産出の中心はブラジルです。高い評価が下される色の濃いアクアマリンが産出されることで名高く、なかでもミナス・ジュライズ州サンタマリア鉱山産のアクアマリンの質が高かったことから、良質の濃いアクアマリンを「サンタマリア」と形容するようになりました。大粒のアクアマリンの産出も多く、キズの少ないアクアマリンが多く産出されるのも特徴です。
モザンビーク産
1991年頃から採掘がスタートしたモザンビーク産アクアマリンも、色の濃いアクアマリンが産出されるようになり注目を集めています。なかでもモザンビーク産の良質なアクアマリンは、ブラジルのサンタマリアを連想させる「サンタマリア・アフリカーナ」と形容されるレベルにまで評価されています。それもあってか最近は産出量が激減。良質のサンタマリア・アフリカーナは非常に少なくなっています。
マダガスカル産
産出量が激減しているモザンビーク産に代わって、産出量が増えているのが、マダガスカル産のアクアマリンです。現在はブラジルとマダガスカルが希少なアクアマリン産出国としての地位を築いています。また、マダガスカルでもブラジル産と同様に、色の濃く良質なアクアマリンが産出されおり、こうした影響もあり、特定の地域に限定されることなく、色の濃いアクアマリンを総称する名称として「サンタマリア」と形容するようになっています。
アクアマリンの歴史
アクアマリンはヨーロッパにおいて遥か昔から貴族たちに愛され親しまれてきました。そんなアクアマリンはラテン語で「アクア」は「水」を、「マリン」は「海」を意味します。南海の小島の海の青さを想わせる、「アクアマリン」という絶妙なネーミングは、およぞ2000年前にヨーロッパを制覇したローマ人によって命名されました。
また、中世のヨーロッパでは、船乗りたちにことのほか大切にされ、アクアマリンのもつ清楚なイメージからは想像しにくいものの、航海の無事を約束する護符として信仰され、どんな荒くれ男でも肌身離さず身に着けていたといわれています。